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Russellのパラドクスとλx.xx —— または自己言及がもたらす豊かさと危うさについて

お盆に数日の休みがあったので,Ludwig Wittgensteinの『論理哲学論考(Tractatus Logico-Philosophicus)』を読み始めた.Wittgensteinの著作を読んでいると,彼が理論を継承し,また批判する対象となったGottlob FregeやBertrand Russellの思想にも同時に触れることになる.

『論考』の命題3.3以下に,Russellのパラドクスに対する解決策を提示し,Russellの主張を反駁する場面が見られるが,この記事ではむしろ,Russell自身の回答である階型理論(theory of types)による解決策に目を向けたい.我々が普段プログラムを記述する際に触れる型の概念が如何にして生まれ,発展してきたのかを見ていくこととしよう.

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